段々と進化していく生成AIチャットボット、ChatGPT。皆さんはどのように使っていますか?文章の要約、メール文の作成、企画書作成、プログラミング(マクロ、Python等のコード生成)など…その用途は多岐にわたります。
その高性能な言語作成や情報検索能力は、実は英語学習にも活用可能です!そこで今回の記事では、ChatGPTを使用した英語学習のポイントや注意点について解説します。ChatGPTを使った英語学習に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ChatGPTを用いた英語学習とは?
従来の英語学習の弱点
本サイトをご覧いただいている方々の中にも、英語学習のモチベーションが高い人は多いでしょう。あなたは英語を学習するとき、どのような手順で学習していますか?
多くの方々は、辞書などで英単語の意味を調べ、文法を学んで文章の意味を理解していくという手順になるでしょう。しかしこの機械的な手順では、実は英語の上達は難しいと言われます。
なぜなら、英語と日本語では語順や文章構造が全く異なっており、英語と日本語を一対一に対応させることがほとんどできないからです。
例えば、「make」という英単語を日本語で「作る」という意味で覚えたとします。しかし実際には「She always makes me happy.(彼女はいつも私を幸せにしてくれる)」など、「作る」以外の意味で用いられることが多々あります。
また、日本語の「作る」という意味に対応する英単語は、「create」「produce」「manufacture」などと、make以外にも沢山あります。このように、日本語と英語は機械的な方法ではうまく覚えられないのです。
英語学習の順序
では、英語を上手に理解して学習するには、どうしたら良いのでしょうか?実は、学習する手順を変えることで、理解が劇的にスムーズになるのです。
その手順は、まず英語の文章全体の意味を捉え、その中で、個々の単語の意味を理解するというものです。つまり、単語というバラバラのパーツを組み合わせて全体の文章を理解するのではなく、まず全体の文章を理解してから、個々の単語の意味を知っていくということになります。
そして、記憶するときも、単語ごとにバラバラに記憶しようとするのでなく、文章全体を丸暗記するのが効果的です。英語学習の順序を単語→文章の手順から文章→単語の手順に切り替えることで、英語力は間違いなく上達します。
英語学習でChatGPTを使うメリット
このような文章→単語の手順で学習するときに問題となるのが、以下の2点です。
・文章全体の翻訳をどうするか
・題材とする文章はどうやって選び、手に入れるのか
実はこの2点の悩みを解決し、英語学習を強力にサポートしてくれるツールこそが、ChatGPTなのです。
まず、ChatGPTは英文の翻訳が可能なので、全文を翻訳してもらうことで、文章全体の意味を捉えることができます。その後に英文を読んでいくと、分からない単語の意味が文脈からわかるようになり、例文と紐づけた状態でボキャブラリーや文法の知識を増やしていくことができます。
次に題材となる文章の入手ですが、これもChatGPTが解決してくれます。「この洋楽の歌詞を教えてください」「オススメの英語の読み物を教えて」など、探したい題材の条件を入力することで、簡単にまとまった英語のテキストを入手できます。
プロンプトとプロンプトエンジニアリングの重要性
ChatGPTを英語学習で使う上で非常に重要なのが、「プロンプト」です。プロンプトとは、ChatGPTに対する指示や質問のことです。このプロンプトが明確であれば、回答となる文章の正確性・網羅性が高まります。一方、不明瞭なプロンプトでは、思った通りの回答が得られず、間違った情報すら出力されてしまうこともあります。
そのような非効率的な事態を防ぐために、「プロンプトエンジニアリング」という技術が重要になります。プロンプトエンジニアリングとは、プロンプトの設計や工夫によって、ChatGPTの回答の質を上げるための技術です。
例えば、「○○とは何ですか」というプロンプトと「○○について説明してください」というプロンプトでは、回答が変わることがあります。ChatGPTを使った英語学習においてもプロンプトエンジニアリングを意識することで、学習効率をさらに高めることができます。
プロンプトやプロンプトエンジニアリングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
次の章で特に英語学習や英会話学習に特化したプロンプトを紹介します。
ChatGPTの英語学習プロンプト:基本編
それでは、実際にChatGPTを使って英語を学習してみましょう。
*画像はBingの使用画像ですが、機能はChatGPTのGPT4と同じものとなっています。
まずは題材探しです。今回は「初心者におすすめの英語ニュースサイトはありますか」というプロンプトを入力して、英語のニュースサイトを探してみました。
いくつか候補を提示してくれましたね。この回答はネット検索を元にしたもので、出典を明示してくれています。ChatGPTの有料プランであれば、Webブラウジングを用いて同様のweb検索が可能です。
今回はThe Japan Timesを見てみましょう。
北海道のオーロラの記事を見つけたので、こちらを題材とします。(リンク)
記事本文をChatGPTに入力して、「以下の文章を和訳してください。」というプロンプトを入力します。
まずは全文の和訳を入手できました。しかしこれでは段落ごとに区切られておらず分かりにくいですね。
そこで段落で区切って出力されるよう、「以下の文章を和訳して、段落ごとに区切ってください。」とプロンプトを変更します。
非常に見やすくなりました。この和訳文と原文を見比べて、時には書き写しながら、英語と日本語の対応関係を学んでいくことになります。
そこで欲しくなってくるのが、重要だけど覚えていない、未知の英単語に関する辞書です。覚えていない英単語に関しては、意味を丸暗記するしかありません。上記の画像ではそのような未知単語の辞書が無い状態ですが、これもChatGPTで解決できます。
「以下の文章から重要な英単語をピックアップして、日本語英語辞書を作成してください」というプロンプトを入れてみましょう。
すると上記のように、単語リストが出力されます。
原文、和訳文、単語リストを見比べながら音読や写経を繰り返すことで、英語力は着実に向上していくことでしょう。
ChatGPTの英語学習プロンプト:応用編
ChatGPTによる英語の学習にはいくつかバリエーションがあります。プロンプトと合わせて見ていきましょう。
(1)日本語文の英訳
自分で日本語の文章を書いて、それをChatGPTに英訳してもらいます。この方法は英語を書く訓練にもなるので、英作文の練習などで非常にオススメです。
特に高校や大学などで英語のレポートを書く必要がある場合は、ChatGPTを頼ってみると良いでしょう。
(2)今日の話題で英語の例文を生成させる
基本編ではニュースサイトを紹介してもらいましたが、もっと直接的に、ChatGPT自体にニュースの英文を読ませるプロンプトもあります。
「今日の日本のニュースについて、英語で説明してください」と入力します。
この英文をコピーして和訳を作成することで、基本編と同じ手順で学習できます。
(3)場面に応じた英語表現を学習
旅行、接客、学校、会社など、場所によって会話の内容は変化していきます。ChatGPTのプロンプトを工夫すると、シーンごとによく使われる英語表現も学習できます。
「レストランの接客でよく使われる英文を、和訳付きで教えてください」というプロンプトを入力します。
プロンプトに「和訳付きで」と書き加えるのがコツです。この指示が無いと、英文のみが出力されてしまいます。
さらにプロンプトを工夫すると、対話形式で出力することも可能です。
様々なシーンの英語表現を覚えることで、より実践的な英語力を手に入れることが出来ます。
(4)ChatGPTの音声会話機能で英会話学習
実は、ChatGPTには音声会話機能があります。この機能は英語にも対応しているため、英会話の練習ができるのです。AIを相手に会話するため「間違えたらどうしよう」という心配も必要ありません。
音声会話機能を使うと、さらに英語学習のバリエーションが広がります。
・発言が正しく書き起こされるかどうかで英語の発音を確認する
・英語での返答を翻訳する練習
・ニュース記事などを読み上げてもらってリスニングの練習
など、アウトプットとインプットの両面において効率的な英語学習が見込めます。
なお、音声会話機能はアプリ版(iPhone/Android)のみで、ブラウザ版は対応していません。
ただしブラウザ版に「Voice Control for ChatGPT」というGoogle Chromeの拡張機能を追加することで、パソコンでChatGPTに質問文を音声入力し、その回答を読み上げることはできます。
ChatGPTを用いた音声会話機能について詳しくはこちらの記事をご覧ください
ChatGPTで英語を学習する際の注意点
ここまでChatGPTを利用した英語の学習方法を紹介してきましたが、実は注意点もあります。
(1)ChatGPT任せにしない
言語は読む・書く・話す・聞くものなので、手や口を動かして、体に刻み込むような意識で学ぶことが何より重要です。ChatGPTを使っただけで満足してしまっては、真に言語を習得したとは言えません。
何でもChatGPTに聞いて終わりではなく、しっかりと手や口を動かす時間を設けてからChatGPTを使ってみましょう。
(2)情報の信憑性を確認する
ChatGPTは、人工知能によってネットの情報を学習しているため、誤った情報を出力することがあります。(ハルシネーション)
現在ChatGPTが学習している情報も2023年4月までのものですので、トピックによっては最新情報が反映されていないこともあります。
また、ChatGPTは分からないことに関しても、延々と間違った情報を提供し続けてしまうケースもあります。ChatGPTで英語と一緒に海外の文化などを学ぶ際は、必ずその情報の信憑性を確認しましょう。
(3)言葉遣いに注意する
ChatGPTは、場合によっては不適切な表現を含むことがあります。特に、ChatGPTが出力する言葉遣いが自分の文化や社会規範に合わない場合は、適切な言葉遣いに言い換えるようにしましょう。
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