【ChatGPT for Excel】チャットGPTをエクセルに活用し、自動化する方法!

表計算・文書作成ツールとしておなじみのExcel。実は話題の生成AI「ChatGPT(チャットGPT)」が、Excel(エクセル)で簡単に利用できるのをご存知でしたか?

ChatGPT for Excelという無料の外部拡張機能(アドイン)を追加し、ChatGPTのAPIキーをセットするだけで、Excelのワークシート上でChatGPTに質問し、回答が出力できるようになるのです。

この記事では、Excel(エクセル)へのChatGPT(チャットGPT)の導入手順と、効果的な活用方法をご紹介します!

ChatGPTの使い方についてはこちらの記事を参照ください。

 

ChatGPT for Excel(チャットGPT for エクセル)の導入方法

①「ChatGPT for Excel」のアドインを追加

それではさっそく、Excelに「ChatGPT for Excel」のアドイン(外部機能)を追加しましょう。アドイン検索画面の出し方はExcelのバージョンによって異なるので、Microsoft社の公式ホームページを参照してください。(リンク

アドイン検索画面を開くと、以下のようになっています。

excel内のアドイン検索画面

画像出典:excel

検索欄に「ChatGPT」と入力すると、「ChatGPT for Excel」が表示されます。

ChatGPT for Excelの検索結果

画像出典:excel

目的のアドインを選んで「追加」ボタンをクリックすればOKです。

ChatGPT for Excel」がエクセルに追加され、画面の右側に作業用ウィンドウが追加されます。なお作業ウィンドウを一回閉じてから再度開く際は、[ホーム]タブの右端に追加されている「ChatGPT for Excel」のボタンをクリックしてください。

excel内にChatGPT for Excelが追加された様子

画像出典:excel

②API Keyの取得(ChatGPTとExcelの連携)

ChatGPTを他のサービスで活用するためには、APIキーを取得する必要があります。

APIは主にソフトウェアやプログラム同士を繋ぎ合わせる「コネクター」のようなプログラムです。ChatGPTのAPIキーを用いることでExcelはもちろん、スプレッドシートやGoogleドキュメントなどの他サービスの画面でもChatGPTの機能を使用できるようになります。

Create new secret keyの詳細画面

画像出典:excel

APIキーを取得する具体的な手順は、以下の記事の「§2  GPT3.5とGPT4 APIの取得方法」に記載されています。ぜひ参照してください。

ChatGPT API Keyの取得方法

APIキーを取得したら、Excelの作業ウィンドウに戻ります。

Plans」のタブを選び(上から2番目)、「Use your own OpenAI API Key」のボタンを有効にして、APIキーを入力します。

excelの料金プランの詳細

画像出典:excel

これでExcelでChatGPTが使えるようになりました。

APIとトークン

ChatGPTのAPIは、APIリクエストの数とそのリクエストの中に含まれる「トークン」の数に基づいて料金が発生する仕組みになっています。トークンは、AIモデルがテキストを解析するときの最小単位です。(1トークン=1文字で無いことに注意)

そのため、プロンプトを工夫してなるべくトークン数を減らすことが重要になってきます。トークン数に応じた詳しい料金体系については、後の章で解説します。

ChatGPT for Excelの代表的な関数と使い方

それでは、いよいよExcelでChatGPTを動かしてみましょう。

ChatGPT for Excelでは、さまざまなAI関数を使うことで様々なChatGPTの回答をExcel上に入力することができます。今回は特に使用頻度の多い5種類のAI関数を紹介します。

  • AI.ASK関数(ユーザーからの質問に回答)
  • AI.LIST関数(ユーザーからの質問に対してリスト形式で回答)
  • AI.TRANSLATE関数(文章をユーザーが指定した言語に翻訳)
  • AI.FORMAT関数(文章をユーザーが指定したフォーマットに出力)
  • AI.EXTRACT関数(文章から指定のデータを抽出)

モデルは『gpt-3.5-turbo-1106』を使用します。

(1)AI.ASK関数:プロンプトに回答する

【=AI.ASK(プロンプト)】と入力すると、ChatGPTからプロンプトに対する回答が出力されます。例として、AIの定義を質問してみましょう。

C2セルに質問、C3セルにAI.ASK関数を入力すると…

エクセルのC3セルにAI.ASK関数を入力

画像出典:excel

C3セルに質問の回答が出力されました。

ChatGPTに対する質問が入力される様子

画像出典:excel

※セルの幅は回答が全て写るよう調整しています

上記の例では回答のトークン数を抑えるために、プロンプトに「分かりやすく」と書き加える工夫を施しています。トークン数を抑えつつ目的の回答を得るためには、プロンプトエンジニアリングという技術が必要になります。

プロンプトエンジニアリングについては、以下の記事を参考にしてください。

プロンプトエンジニアリングの詳細

(2)AI.LIST関数:プロンプトに「リスト形式で」回答する

【=AI.LIST (プロンプト)】と入力すると、プロンプトへの回答をリスト形式で得ることができます。AI.ASK関数は回答を1セルにまとめて出力するのに対し、AI.LIST関数は回答を複数セルに分割して出力します。

例として、バスケットボールの強豪国について質問してみましょう。

C2セルに質問、C3セルにAI.LIST関数を入力すると…

ChatGPTで出力したエクセル関数

画像出典:excel

以下のような出力が返ってきます。

ChatGPTで出力した関数の結果

画像出典:excel

「3つ挙げてください」という指示の通り、リスト形式で3つの回答が出力されていますね。

トークン数を抑えるには「〇個教えてください」など、個数を指定するのが良いでしょう。

(3)AI.TRANSLATE関数:文章を指定の言語に翻訳

【=AI.TRANSLATE(テキスト, 翻訳先の言語)】と入力します。

第1引数にテキスト、第2引数に言語を指定することで、テキストを指定の言語に翻訳することができます。

例として、日本語の文章をAI.TRANSLATE関数で英訳します。

C2セルに原文、C3セルに言語を指定し、C4セルにAI.TRANSLATE関数を入力すると…

excel内にChatGPTで表を生成する様子

画像出典:excel

訳文は以下のように出力されました。

ChatGPTによって出力された表データ

画像出典:excel

このとき、翻訳先の言語は英語表記でも日本語表記でもOKです。上記の場合、C3セルに「英語」と入力しても同じように出力されます。

(4)AI.FORMAT関数(文章を指定のフォーマットに出力)

【=AI.FORMAT(プロンプト, 出力したいフォーマット)】と入力することで、プロンプトの回答を指定のフォーマットで出力することができます。

フォーマットはCSV形式やXML形式、JSON形式などが指定できます。

例として、九州地方の都道府県をCSV形式で列挙してみましょう。

C2セルにプロンプト、C3セルにフォーマット、C4セルにAI.FORMAT関数を入力すると…

※CSV形式:値や項目をカンマ(,)で区切って記述するテキストファイルやデータのこと。

九州の都道府県をXMLを用いて表形式で出力したもの

画像出典:excel

以下のように、CSV形式で回答が出力されました。

この回答をコピーしてメモ帳などのテキストエディタに貼り付け、.csvの拡張子で保存すると、CSVファイルを作成することができます。

九州の都道府県をCSVを用いて表形式で出力したもの

画像出典:excel

ちなみにXML形式だと以下のように出力されます。

※XML形式:文章の構造や見た目を記述するマークアップ言語。データの内容を記載する「タグ」を自由に設定することが可能であるため、非常に高い柔軟性を持つ。

九州の都道府県をXMLを用いて表形式で出力したもの

画像出典:excel

フォーマットによってはトークン数が非常に多くなるため、各フォーマットの仕様を理解してから扱うことをオススメします。

(5)AI.EXTRACT関数(文章から指定のデータを抽出)

【=AI.EXTRACT(プロンプト, 抽出したいデータ)】と入力します。

プロンプトと抽出したいデータを指定することで、特定のデータのみを抜き出すことができます。例として、プロンプトのテキストからURLを抽出してみましょう。

C2セルにプロンプト、C3セルにデータ指定を入力します(今回はURL)。C4セルにAI.EXTRACT関数を入力すると…

ChatGPTを用いてエクセル内に製作した表データ

画像出典:excel

プロンプトからURLのみが抽出されました。

エクセルにおけるURLの出力

画像出典:excel

「データ指定」に当たる部分は他に「メールアドレス」や「電話番号」を指定することが多いです。顧客データから特定の情報を抽出するときなどに有用です。英語で「Email」「Phone」と入力しても問題ありません。

この他にも「AI.FILL関数(サンプルデータから予測して回答)」「AI.TABLE関数(データから自動的に表やグラフを生成)」などの関数が使用可能です。

ChatGPT for Excelの活用例

ChatGPT for ExcelのAI関数を使うことで、様々な業務を効率化できます。

(1)データ入力や文書の執筆・翻訳などの単純作業

Excelの基本操作を知っていれば、AI.LIST関数やAI.EXTRACT関数を使うことで単純な入力作業をChatGPTに任せられるようになります。その分、人間にしかできないクリエイティブな仕事に集中できるようになるので、効率を上げることができます。

(2)データ分析

大量のデータをChatGPTに与えることで、データ分析も簡単にできます。

例えば、小売店の販売データをChatGPTに与え、分析して市場の傾向を予測するように指示することも可能です。また、ChatGPTプラグインを使うと、CSVやPDF、PowerPointからも情報を読み取って分析できるようになります。

ただし効率的に分析するためには、データの選別や成型など、データサイエンスの基礎知識を学んでおく必要があります。その分、使いこなせば強力な分析ツールになります。

(3)VBA・マクロの作成

Excelには膨大な関数や機能が実装されているため、全てを理解して最適なシステムを作るのはかなりの技術が必要です。そんなときにChatGPTに実現したい機能の詳細を伝えると、使うべき関数や機能を返してくれるため、初心者でもVBA・マクロを作成できます。

ChatGPT for Excelに必要な料金と注意点

前の章でも述べましたが、ChatGPTのAPIはトークンの利用量に対して料金が発生するので注意が必要です。

英語の場合は1単語に対して1トークンですが、日本語は英語よりトークン消費量が多く、ひらがな1文字に対して1〜2トークン、漢字1文字に対して1〜3トークンと言われています。また、APIの使用料金はChatGPTからの返答のみでなく、こちらから入力した文章に対しても発生します。

(1)GPT-3.5モデルのAPI料金

基本的にChatGPTのAPIは、リクエストあたりのトークン数が増えると費用が増えるという料金体系を採用しています。

・『gpt-3.5-turbo-1106』モデル

入力1000トークンあたり0.14円(0.001ドル)

出力1000トークンあたり0.28円(0.002ドル)

・『gpt-3.5-turbo-instruct』モデル

入力1000トークンあたり0.21円(0.0015ドル)

出力1000トークンあたり0.28円(0.002ドル)

※1ドル140円のレートで換算

ChatGPT GPT3.5のAPI料金表

画像出典:excel

2種類のモデルの料金差は僅かに感じられるかもしれませんが、過去の会話も入力文として認識するよう設定した場合、膨大なトークン数が消費される危険があります。あまり長い文章を入力しない場合は『turbo-1106』モデルを選択しましょう。

(2)GPT-4モデルのAPI料金

一方GPT4は、より高度な性能を持つため、GPT3.5に比べてトークンあたりの料金が高くなっています。

・『8K context』モデル

入力1000トークンあたり4.2円(0.03ドル)

出力1000トークンあたり8.4円(0.06ドル)

・『32K context』モデル

入力1000トークンあたり8.4円(0.06ドル)

出力1000トークンあたり16.8円(0.12ドル)

ChatGPT GPT4のAPI料金表

画像出典:excel

こちらも、あまり長い文章を入力しない場合は『8K context』モデルを選択しましょう。

ChatGPT for Excel利用時の注意

「ChatGPT for Excel」は非常に便利なアドインですが、注意すべきことが3つあります。

(1)APIの利用量と有効期間

OpenAIアカウントを作成すると、無料体験用のクレジットが自動的に付与されます。このクレジットには利用上限(5ドル分)があり、かつ有効期間は3ヶ月間となっています。導入を検討する際は、アカウントを作ったらすぐにChatGPT for Excelを試すようにしましょう。

無料体験用クレジットを使い切るか失効した後は、課金が必要になります。有料版は従量課金制になっており、あらかじめ使用上限を設定したり、一定量を超えた場合にメールで通知されるように設定できます。無料の範囲で試したい方は、くれぐれも利用量と有効期間に気をつけながら利用しましょう。

(2)機密情報・個人情報の取り扱いに気をつける

これはChatGPTについて全般的に言えることですが、機密情報や個人情報は入力しないようにしましょう。今回のアドイン(API)については「入力データの学習利用はしない」という規約になっていますが、業務で利用する場合は機密情報・個人情報は伏せるか、書き換えるなど、念のため対策を取っておくのが無難です。

(3)出力結果の事実確認を怠らない

ChatGPTの回答はすべて正しいわけではありません。誤情報が含まれる可能性があることを念頭に、必ず自分で事実確認を行いましょう。

まとめ

日常のビジネスシーンで欠かせないExcelにChatGPTを連携することで、大幅な効率アップや、さらなる業績向上が見込めます。

今後のビジネスパーソンには、ChatGPT for Excelのような生成AI関連ツールをうまく使いこなすスキルが必須となるでしょう。ぜひ、まずは気軽に触って試してみてください。

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