RAGやチャットボット作成に必須のライブラリ「LangChain」とは?できることを紹介!

今回は、大規模言語モデル(LLM)を使いこなすための必須ライブラリ「LangChain」について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

皆さんは自分で対話型AIを作ってみたいと思ったことはありますか?実は、我々でもそのような対話型AIを「LangChain」を使えば開発することができるのです。LangChainは、LLMの機能拡張を効率的に実装するためのライブラリで、自然言語処理や対話型AIアプリケーションの開発に欠かせないツールとなっています。

本記事では、LangChainの主要な機能について詳しく説明し、どのようにLLMの能力を引き出せるのかを探っていきます。LangChainの持つ可能性と魅力に焦点を当てていきますので、ぜひ最後までお付き合いください!

1章 LangChainの概要

1-1 LangChainとは?

LangChainは、OpenAIやHugging Faceなどの大規模言語モデルを活用するためのライブラリです。LLMを使ったアプリケーション開発を効率化し、より高度な自然言語処理を実現するための様々な機能を提供しています。

LnagChainの機能を用いることによって従来のLLMではできない所望の機能を追加したアプリケーションを開発できます!

Python、JavaScriptなどといったプログラミング言語に対応していますが、LangChainの機能を最大限に活用するにはPythonでの使用が良いとされています。というのもPythonでは細かなバージョンアップが頻繁に行われており、最新の技術に追いつきやすいなどの理由があるようです。(LangChain 公式サイト)

1-2 LangChainの主な機能

LangChainには、以下の6つの主要な機能があります。

  1. Model I/O:様々な言語モデルやチャットモデル、エンベディングモデルを切り替えたり組み合わせたりできる
  2. Retrieval:外部知識ベースから関連情報を取得し、LLMの生成プロセスに組み込む
  3. Chains:複数のプロンプト入力を連鎖的に実行し、より複雑な推論を可能にする
  4. Memory:チャットボットなどにおける状態保持や履歴管理を行う
  5. Agents:LLMに渡されたツールを用いて、モデル自体が次のアクションを決定・実行する
  6. Callbacks:LLMアプリケーションのロギング、モニタリング、非同期処理などを管理する

    これらの機能を駆使することで、単なる言語モデルの利用を超えた、高度で実用的なAIアプリケーションの開発が可能になります。次の章で実際に機能の詳しい説明をしていきたいと思います!

    2章 LangChainの主要機能

    2-1 Model I/O

    Model I/Oは、OpenAIやHugging Faceなど、様々な言語モデルやチャットモデル、エンベディングモデル切り替えたり組み合わせたりできる機能です。Model機能により、タスクに応じて最適なモデルを選択してそれらを組み合わせることでカスタマイズをすることができるのです。

    また、プロンプトのテンプレート化や、大量の教師データからの効率的な例示選択など、入出力の調整にも役立ちます。

    2-2 Retrieval

    Retrievalは、言語モデルが学習していない事柄に関して、外部データを用いて回答を生成するための機能です。Wikipediaや社内ドキュメントなどの知識ベースから関連情報を取得し、LLMの生成プロセスに組み込むことで、より正確で最新の情報に基づいた応答が可能になります。

    この機能は、機密情報を扱う際のセキュリティ確保にも役立ちます。外部サーバーを介さず、自社のシステム内で情報を処理できるため、データ漏洩のリスクを軽減できるのです。

    Retrievalの機能でも用いられる外部データからLLMが回答を生成する手法であるRAGについて、以前の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください!

    2-3 Chains

    Chainsは、複数のプロンプト入力を連鎖的に実行することで、より複雑な推論を可能にする機能です。例えば、「質問に答える」→「答えを要約する」→「要約に対する感想を述べる」といった一連の流れを、シームレスに実行できます。

    CoTプロンプティングの例

    画像出典 OpenAI

    特に、「CoTプロンプティング」と呼ばれる手法では、中間的な推論ステップを経ることで、LLMの複雑な推論能力を引き出すことができます。

    上の画像では、CoTプロンプティングの例をChatGPTで表しています。プロンプトの中に推論の過程を含めることで、ChatGPTが間違えた問題を正しく回答させることに成功しています。

    2-4 Memory

    Memoryは、チャットボットなどにおける状態保持や履歴管理を行う機能です。ユーザーとのやり取りを記憶し、文脈に応じた応答を生成することで、より自然で継続的な対話を実現できます。

    こちらの機能がないと、チャットボットは前の会話の内容を記録することができないので「先ほどの回答に対してくわしく説明して」といったプロンプトは使えなくなってしまいます。

    また、複数のチェーンやエージェント間で履歴を共有することも可能で、アプリケーション全体での一貫性のある振る舞いが期待できます。

    2-5 Agents

    Agentsは、LLMに渡されたツールを用いて、モデル自体が次のアクションを決定・実行する機能です。例えば、ユーザーからの質問に対し、Wikipediaで関連情報を検索し、その内容を踏まえて回答を生成するといった、自律的な行動が可能になります。

    Agentsを利用する際に、toolを定義します。例えば、「プロンプトで質問された内容の情報をWikipediaから取り出して出力する」というツールを定義した場合、Agentsは説明文から判断してWikipediaで情報を検索するという行動をとることができるのです。

    また、特定のユースケースに特化したツールセットを搭載した「Toolkits」も提供されており、より効率的なエージェントの開発が可能です。

    2-6 Callbacks

    Callbacksは、LLMアプリケーションのロギング、モニタリング、非同期処理などを管理する機能です。言語モデルの実行中に発生するイベントを記録したり、リアルタイムでデータを送受信したりすることで、アプリケーションの動作を詳細に把握・制御できます。

    また、消費されるトークン数を計測するトークンカウント機能も備わっており、コストの最適化にも役立ちます。

    3章 LangChainの活用事例

    LangChainを活用することで、様々な分野でLLMの能力を最大限に引き出すことができます。ここでは、いくつかの具体的な活用事例を紹介します。

     業界特化型チャットボット

    LangChainを使えば、特定の業界に特化した知識を持つチャットボットを開発できます。Retrievalを利用して業界固有のデータベースから情報を取得し、Chainsで複雑な推論を行うことで、専門的な質問にも的確に答えられるチャットボットが実現します。

     自律型アシスタント

    Agentsを活用することで、スケジュール管理や進捗報告、議事録の作成など、様々なタスクを自動化する自律型アシスタントを開発できます。ユーザーの指示に応じて必要なツールを選択し、自律的に作業を遂行していきます。

     セキュアなシステム内チャットボット

    機密情報を扱う企業では、データの外部流出が大きな問題となります。ChatGPTのような一般向けに公開されているチャットボットではOpenAIのサーバーに一定期間データが残ってしまったり、HTTPのネットワーク上にデータを通信させることにより、情報漏洩のリスクが高まるという懸念があり社内での利用にはリスクがありました

    LangChainのRetrievalを利用すれば、社内ネットワーク内で完結するチャットボットを開発できます。外部サーバーを介さずに情報を処理できるため、セキュリティの高いシステムを構築できます。

    4章 まとめ

    今回は、大規模言語モデルを使いこなすためのライブラリ「LangChain」について、その主要な機能と活用事例を紹介しました。

    LangChainは、LLMの能力を引き出すための様々な機能を提供し、自然言語処理や対話型AIアプリケーションの開発を大きく前進させるツールです。単なる言語モデルの利用を超えた、高度で実用的なAIアプリケーションの開発が可能になります。

    今後、LangChainのような開発ツールがさらに進化していくことで、LLMを活用した革新的なアプリケーションが次々と生まれてくるでしょう。AIの可能性を最大限に引き出すために、LangChainは欠かせない存在になっていくはずです。

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